B-CASについての最新情報、関連する画像や動画を紹介。


詳しい解説

BS 110度CS 地上デジタル共用B-CASカード

B-CASとは、ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ社(B-CAS社)が提供する限定受信方式、または同機能を実現するために受信機に設置するカード(B-CASカード)のこと。

電波産業会の標準規格・技術資料において「限定受信方式」と定義されており[1][2]、一般にARIB限定受信方式とも呼ばれる[3][4]。関連する方式として、地上デジタル放送に限って地上放送RMP管理センターが運用するコンテンツ権利保護専用方式(RMP方式、地上RMP方式[5])があり、上述の標準規格・技術資料において「コンテンツ保護方式[1][2]」(ARIBコンテンツ保護方式[4])と定義される。

B-CAS方式は、日本のBSデジタル放送の有料放送受信者を対象とする狭義の限定受信システム (CAS : Conditional Access System) としてスタートし、現在も社名にビーエスを冠する[6]。その後、BSデジタル放送以外にも利用されデジタル放送におけるデジタル著作権管理 (DRM) の一部として正規の機器を認証する広義の限定受信方式(コンテンツ保護方式)としても利用されている[6]

目次

概要

B-CASカードによる限定受信システムはビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ(B-CAS社)によって開発された。2000年平成12年)12月1日、BSデジタル放送が開始された際に有料放送契約者を対象として運用開始された。その後、110度CSデジタル放送の有料放送にも採用された。

2004年平成16年)、BSデジタル放送の無料放送に著作権保護が目的とされるコピー制御が導入された際、コピー制御信号(CCI。コピーワンスが原則とされるが2008年平成20年)7月よりダビング10も併用)とともに、CCIの実効性を担保する限定受信方式として、DRMの一部の形でBSデジタル放送・地上デジタル放送・110度CSデジタル放送に広く採用されることとなった。BSデジタル・110度CSデジタル放送に関しては日本周辺諸国へ衛星からのスピルオーバーによる視聴・録画等を防ぐ目的も持っている(ただし、B-CASカードを日本国外へ持ち出した場合は防げない。B-CASカード利用規約では、国外への持ち出しを禁止している)。

この限定受信の方式はB-CAS方式と呼ばれ、日本のデジタル放送における著作権保護に利用されている。

2009年平成21年)11月からは、Plug-inSIM形状のminiB-CASカード(地上デジタル専用)の運用が始まった。加えて、2011年平成23年9月東芝から発売されたデスクトップパソコン「dynabook REGZA PC D731シリーズ」では赤色miniB-CASカード(地上・BS・110度CS兼用)が導入されている。

B-CAS方式

2000年平成12年)12月1日にBSデジタル放送、2002年平成14年)3月1日に110度CSデジタル放送、そして2003年平成15年)12月1日に地上デジタル放送がそれぞれ開始された。当初から現在に至るまで、B-CASは有料放送であるWOWOWスカパー!(旧・e2)のCASとして利用されている。なお、有料放送はカードに対しての解除信号が送られているためカードを差し替えることで利用できる機器を切り替えることができる。

開始当初、限定受信は有料放送が対象でありコピー制御も有料放送を除いて行われていなかったが在京の主婦が録画した「BSデジタル放送のSMAP×SMAPを録画したD-VHSテープがインターネットオークションに出品される著作権侵害があった」とするハリウッド系資本の放送事業者の主張により技術エンスロ委員会で問題視され、2004年平成16年)4月5日からは有料放送・無料放送を問わず著作権保護が目的であるとするコピー制御が開始された。[7] ラジオ放送の一部や110度CSデジタル放送では、主に広告を目的とした通販番組など無料番組の一部ではコピー制御・限定受信の一方または両方が行われない番組もある。この制御の実効性を担保する手段としてB-CASの限定受信が応用され、これらはDRMとして機能することとなった。

B-CAS方式によるデジタル放送は動画データにコピー制御信号 (CCI) を加えた上で暗号化MULTI2暗号・日立製作所開発)して送信される。視聴する際はB-CASカードに格納されている暗号鍵を用いて復号し、復号されたデータはCCIに忠実に取り扱われる。これにより、B-CAS方式の限定受信の行われている放送・番組では社団法人電波産業会 (ARIB) とB-CAS社に認証されB-CASカードが発行されたチューナー(コピー制御対応チューナー)にB-CASカードを挿入することが必須になり、それ以外の手段では視聴不可能となった。

B-CASカードを使用する受信機には特定条件に一致した場合に放送局からのお知らせを目的とした文言を画面に表示する「自動表示メッセージ」と呼ばれる機能がある。NHKの衛星放送においてはユーザー登録を行わないままBSデジタル放送を視聴し一定期間(1か月)が経過すると、この機能を利用した「ユーザー登録のお知らせ」が表示される。地上デジタル放送ではユーザー登録をしなくとも画面上に「ユーザー登録のお知らせ」は表示されない[8]

B-CAS方式による放送ではデジタル技術を用いた録画機器と一部アナログ録画機器での番組の録画及び暗号化はされていないが、録画にさまざまな制限が掛かる。「B-CASとコピーワンス」、「DVDレコーダー#DVDレコーダーとコピー制御の関係」の項などを参照。これは録画機器メーカーであり、Blu-ray Discの提案者であり、同時に権利者でもあったSONYが提案、後続メーカーはそれに従う形で実装した。

発端となった技術エンスロ委員会の委員長は「簡単に破られるだろう」、「ハッカーは歓迎だ。BSが普及する事は良い事だ」と述べたが、実際に突破されて崩壊するまで10年近くを要し、その間ユーザーは不満を募らせ、その怒りをB-CAS社に向けた。しかしそれは厳密には誤りであり、権利者が希望もしないのに過剰なアクセス制限を自主規制の形で実装した受信機メーカー業界の本質である事に長らくして気づく。[7]

B-CASカード

B-CASカードはB-CAS社が発行する接触式ICカードでARIBとB-CAS社に認証されたデジタル放送受信機に同梱して配布され、受信機(チューナー、セットトップボックス、デジタル放送対応テレビBDレコーダーなど)に挿入して使用する。B-CASカードのICチップ内部にはカード毎に固有のID番号と暗号鍵が格納されている。

B-CASカード単位で受信契約情報が記録されているため、NHKの衛星放送受信契約や有料放送の視聴契約等の情報が記録されているカードを差し替えることにより別のデジタル放送受信機でも同様の視聴や録画が可能となっている。このため、デジタル放送受信機を買い替えた際にも従来使用していたB-CASカードを挿すことにより新しい受信機でも買い替え前同様の視聴や録画が可能である。逆に言えば、新しく買い替えたからといって、従来のカードが使用できる状態であれば改めて契約をし直す必要はない。

B-CASカードは赤カード・青カード・CATV専用カード(オレンジ色)の3種類が一般的に知られている。家電量販店に行けば、店頭展示テレビに挿入されている店舗用B-CASカードも見受けられる。

赤カードはBS・CS110度・地上のデジタル放送3波共用カードである(裏面にBSデジタル専用と書かれていてもダウンロードサービスを受けることにより3波利用可能である)。

青カードは地上デジタル放送専用カードである(B-CAS社へのライセンス料の支払軽減が目的とされている)。BS及び110度CSは受信可能であるが、CSの有料番組の契約はできない。地上デジタル特別内蔵用カード(浴室等に持ち込むことができる防水加工されたテレビ等に内蔵)は屋外使用の仕様や防水仕様などの受信の場合、着脱が難しいため出荷段階から挿入済みとされる。12セグの視聴が可能なカーナビゲーションやUSB型受信機等にSIMカードサイズのminiB-CASカードも発行されている。

その他、白カード(店頭展示テレビ専用)、黄色カード(用途限定カード)、黒カード(業務用)など限られた用途のB-CASカードも存在するが一般視聴者が目にすることはあまりない。これらのカードはネットオークションに出品されることもあるが、同社は契約違反であるとして問題視している[9]

B-CASカードの転売や譲渡については、B-CAS社はカード所有権は自社にあるとして転売などを認めておらず[10]、転売すると著作編法違反で逮捕される。カード単体での発売も行われておらず、故障や紛失した際には、B-CAS社のカスタマーセンターに申し込むことで、1枚あたり送料込み2,000円で再発行される[11]

雑誌『週刊ポスト』の報道では、毎年の発行枚数と売り上げから計算するとB-CAS社にとっては1枚600円前後のビジネスと推測されている[12]。メーカーの仕入れ値については、1枚あたり100円程度であることが2013年のB-CASカード横流し事件の際に報じられた[13]

B-CAS社はデジタル放送推進協会 (Dpa) と契約を交わし、ARIB規格に準拠して著作権保護機能を遵守するメーカーの機器にカードを支給していると述べている[12]

B-CASカードの所有権とシュリンクラップ契約

シュリンクラップ契約にて締結される使用許諾契約約款ではB-CASカードの所有権は株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズに帰属するとされている。

B-CASカードの種類

カード裏面の右下の文字が、Tで始まるものは東芝製、Mで始まるものはパナソニック製[14][要出典]

カードID概要
0000-0001
0000-0002
0000-2000
地デジ・BSデジタルのコピー制御に未対応(カード表に星印なし)[15]
0000-2002三波共用(カード表に星印なし)
0000-2800CATV専用カード。地デジ・BSデジタルのコピー制御に未対応(カード表に星印なし)
0000-28**CATV専用カード
0000-30**三波共用
0000-31**三波共用
0000-32**三波共用
0000-35**白地に赤三波共用ミニカード
0000-40**白地に赤店頭展示テレビ専用
0000-50**地デジ専用
0000-55**白地に青地デジ専用ミニカード
0000-57**白地に青特別内蔵用
0000-90**業務用
0000-91**用途限定

B-CAS方式に係る問題

制度上の問題

仕様上の問題点

CELL REGZAには8チャンネル同時視聴を可能とするためB-CASカードが6枚挿入されている。

当初、1枚のB-CASカードでデコードできる放送は、制度上2チャンネル分に限定され、録画機能を充実させるために3チャンネル以上受信対応させた機種の場合、複数枚のB-CASカードが必要になり、受信装置のコストアップの一因になっていた。地デジ全チャンネル録画(8チャンネル分)に対応した東芝CELL REGZAでは、その他の録画や実際の視聴のために計6枚のB-CASカードを搭載している[16]

その他、カード単位で契約が管理されているため、受信機が複数ある場合放送2チャンネル分以下でも契約の共有ができない問題もある。ある有料チャンネルをカード1枚分のみ契約した場合、テレビとレコーダーが別々の場合は見るときはテレビに、録画するときはレコーダーにというように、カードの差し替えが必要となる。

バックドアの存在

1億5千万枚以上発行(2014年時点)されたB-CASカードの大多数に、カードに書き込まれた情報が平文で読み書きできるバックドアが存在する[17](この事案から、カード裏のT記号が東芝のTであり、他の記号は製造メーカーの頭文字と推定される)。最初に明らかにされた東芝製B-CASカードは東芝製品にしか付属しない事、早期にB-CASカードからバックドアへのアクセスプログラムが削除された為、流通数は全体からすると少ない。

しかし、残る他社カードではバックドアプログラムをB-CASカードに再プログラム出来る事が判明。2012年、全てのB-CASカードのセキュリティが突破される。この時、B-CASカードには「お試し視聴期間」として受信開始から一週間だけ全ての有料チャネルが視聴できる機能があった。即ち本来暗号化されたEMMメッセージで書き込まれる筈のワークキーがあらかじめカードに平文で書き込んであり、バックドア経由で全ての鍵が取り出され、また契約者情報を任意に変更できる状態にあった(地上波専用カードは衛星放送の契約者情報が予め期限切れに設定してあるだけで、B-CASカードのほぼ大多数を占める青カードが問題となる)。これが後述の不正視聴問題とDRM能力の喪失に繋がった。


非準拠チューナと不正視聴

不正に出回ったサードパーティ製B-CASカードの一例

コンテンツ保護の問題

B-CAS方式は、かねてよりB-CASカードそのものを悪用する(ARIB非準拠機器にB-CASカードを挿入した)不正コピーには対応できない可能性が指摘されていた。

2007年平成19年)10月25日、既に発行されたB-CASカードを流用した上でコピー制御信号を無視することを前提とした地上・BSデジタルチューナーのフリーオが発売された[18]フリーオ発売以降も複数のARIB非準拠チューナーが発売されており[19][20]、実質的に DRM が機能しているとは言い難い。

ARIB非準拠チューナーを販売・使用する事は違法では無かったが、2012年の著作権法改正で、暗号化を伴う技術的保護手段として、これを回避しての複製が私的複製の対象外として違法行為に当たるということが明文化された。しかし、この条項にはただし書きがあり、研究開発を目的とする物は対象外であり、NHKなどでもコンテンツ開発等を目的として利用している。[21]

限定受信システムの問題

フリーオ発売以降、スクランブルされたストリームのデコードに必要なキーをインターネット経由で共有する手段が実用化され[22][23]地デジ難視対策衛星放送や無料民放放送などが視聴可能となった。

2012年には、B-CAS社が発行したものでない、サードパーティ製の不正なB-CASカードが出回り[24]、その後B-CASカードを改ざんする手法も明らかになり[25]、放送限定受信システムとしての機能を果たさなくなった。

本件は刑事事件として逮捕者が出る事態となっている[26](詳細は次節を参照)。

有料チャンネル等の不正視聴への対応

2012年5月19日に「B-CASのデータを書き換え、放送事業者に料金を支払わずに有料番組を視聴できる方法が、インターネットで出回っていることが分かった。総務省が「コンテンツ保護の観点から由々しき事態。B-CASシステムの改廃につながりかねない問題」として調査に乗り出した」と報道された[27]。同記事では、「不正B-CASカードは、海賊版カードが数か月前から出回っていた。今回、インターネット上で出回った方法は、パソコンを用いて正規のB-CASカードを書き換える方法」としている。

衛星放送のスカパーJSATとWOWOWも不正利用に対し、損害賠償を含めた法的措置をとるとの見解を発表している[28]

2012年6月には不正なB-CASカードを販売した43歳の男が不正競争防止法違反で逮捕され、同年10月に有罪判決が言い渡された。

さらに2013年7月には、さいたま市在住の会社員らが有料放送の視聴料を支払わないで見られるように細工した不正B-CASカードを放送局などに無断で制作・販売した疑いで逮捕された事例がある。この会社員らは不正B-CASカード6000枚を売りさばき1億3000万円以上の稼ぎを得たといわれている。

B-CAS見直しに向けて

総務省の「デジタル・コンテンツの流通の促進等に関する検討委員会」(以下、デジコン委員会)は2008年平成20年)9月26日、地上デジタル放送のB-CASを見直すことを決めた。

同委員会では見直し案として、

  • コンテンツ保護機能のチップ化
  • コンテンツ保護機能のソフトウエア化

といったものが中心に検討された[29]。最終的に、地上デジタル放送についてはソフトウェア制御によるCASの運用を行う団体として「一般社団法人地上放送RMP管理センター」が2011年平成23年)6月に設立され、2011年12月6日、B-CAS方式に依らないコンテンツ権利保護専用方式である、TRMPが提唱された。TRMPではコンテンツ保護方式に関わる審査・情報提供・リボケーションを管理し、主要地上デジタル放送局のほぼ全てが参加した。 その後、2012年平成24年)7月より段階的に導入。これにより、B-CASカードの装着が困難なモバイル機器によるフルセグメント・ハイビジョン視聴が可能となり、実際に実装した機器が発売されている。

ただこれらの見直しは、従来型のB-CASも新方式と並行運用する形であるため、あくまで地上デジタル放送に対するものにとどまっており、BSデジタル放送やCS放送も含めた形でのB-CASの見直しは2011年平成23年)現在も進んでいない。

ユーザー登録廃止への動き

2009年平成21年)11月9日に、ビーエス・コンディショナル・アクセス・システムズ (B-CAS) は地デジ専用B-CASカードのユーザー登録制度を2011年平成23年)3月末で廃止すると発表した[30][31]

2010年平成22年)7月5日に、ビーエス・コンディショナル・アクセス・システムズ (B-CAS) は、全てのB-CASカードのユーザー登録を廃止すると発表した。廃止後は、それまでに収集した個人情報は速やかに消去するとしている[32]。しかし、収集した個人情報が確実に消去され、かつ他の第三者(特に法的権限を持つ公的機関)に漏洩していないかどうかについて、実質的な監査を行う法制度は、発表時点で存在していない。

2011年平成23年)4月、同社はユーザー登録を廃止したことを発表した。民放系BSデジタル放送5社が視聴率測定の代わりに行っている『BSパワー調査』など、従来本個人情報を利用して行われていた調査等については、調査方法の変更等を余儀なくされている。

不正改ざんプログラムをマルウエアと認定

2012年5月18日トレンドマイクロ社の情報によると、B-CASカードを不正改ざんするプログラムをマルウエア「HKTL_RESREM」と認定し、これを「プログラムは、ユーザの手動インストールにより、コンピュータに侵入し」「プログラムは、特定のスマートカードの内容を上書きする機能を備えており、特定の有料テレビ放送へ無制限なアクセスを可能にします。」としている。これがB-CAS社の技術的対策の一環であるかは不明であるが、トレンドマイクロ社のセキュリティソフトを導入している場合、不正改ざんは不可能となる。他社のセキュリティソフトウエアで同様の対応がとられているかは不明であるが、Microsoft製品のWindows Defender、Security Essenstialではこれらの措置は2014年3月現在行われていない。[33]報道によると「不正改ざんプログラムを提供した者を立件」とする物があるが、実際には「不正改ざんデータの配布」で、不正改ざんプログラムそのものを開発、公開した者の特定・立件は2014年現在も実現していない。

著作権法改正に伴う変化

2012年6月20日に成立した著作権法改正案により、私的使用目的であっても,暗号方式による技術的保護手段の回避により可能となった複製を,その事実を知りながら行う場合には,民事上違法となることとなった。この他,暗号方式が技術的保護手段の対象に加わることにより,第120条の2第1号において,暗号方式による技術的保護手段の回避を可能とする装置又はプログラムの譲渡等を行った者は,3年以下の懲役若しくは300万円以下の罰金に処し,又はこれを併科することとなった[34]。これに伴い、これまで暗号化解除手段を開発・提供していたコミュニティは著しく縮退・消滅し、オープンソース等で公開されていたプログラムは過去のリビジョンを残して施行後のリビジョンから暗号化解除に関するコードを削除した。ただし、これらのソフトウエアのフレームワークはあらゆるOSで既に完成していた為、罪の過去訴求は行えず、施行前に完成・公開されていたプログラムはそのまま残る事となる。

セキュリティー対策を強化した新カードを配布

2012年8月30日、不正視聴を放置すれば「有料放送のビジネスモデルが成り立たなくなる」(放送事業者)恐れがある。警察による取り締まりに頼るだけでなく、業界自らが「タダ見」根絶に向け行動する必要があると判断し、契約世帯に対しセキュリティー対策を強化した新カードを配布する方向で調整している。現在の不正カードを使用できなくするのが狙いとし新カードは早ければ2013年にも配布[35] [36]。東芝DVDインフォメーションセンターの情報によると、新カード配布のスケジュールは2014年3月の時点では確定しておらず、先行してメーカー各社に配布した新カードの実機運用テストに何らかの問題が発生した可能性があり、一般への配布は現時点で白紙の状態になっている。

コンテンツ権利保護専用方式の本格運用開始

2013年4月16日、全地上テレビ放送局の運用テストがスケジュール通り完了し、同時にリファレンス実装となる機器の発売が決定。B-CAS方式と並行して運用するサイマルクリプト方式によるコンテンツ権利保護専用方式の運用が始まった。これに伴い三波方式以外の地上デジタル放送受信機でのB-CASカードの運用・添付は段階的に終了し、また三波方式でも地上デジタル放送の受信にはB-CASカードを使用しない方向での運用が確定する(同時2チャンネルの制限を受けないコンテンツ権利保護専用方式の方が望ましいからである)。[37]

B-CAS社による初の民事訴訟の提起

2013年5月9日、B-CAS社自身による初めての民事訴訟手続きが行われる。同年7月8日、損害賠償金の支払いが言い渡される。以後、B-CASカードの不正書き換え・不正競争防止法違反で刑事罰が確定した者に対して、順次損害賠償の請求を行う方針を明らかにする。B-CAS社からは根拠法の提示は行われていないが、いずれも民事訴訟である為、著作権侵害に伴う損害賠償であるものとみられる[38]。財産権の侵害については、その資金をB-CAS社及び放送局の分担で行われており、これによる不正競争防止法違反の原告は東京都検察庁となっている。


不正B-CASカードに係る民事訴訟の提起

2014年2月20日、B-CASカード発行費用を負担する、有料放送事業者のスカパーJSATとスターチャンネル、WOWOWの3社は、有料放送を無料で視聴できるように不正改ざんしたB-CASカードを第三者に販売した3人に対し、2月20日に民事訴訟を東京地方裁判所へ提起。損害賠償として3億2,590万9,127円の支払いを求めた。5000枚以上(本B-CAS不正視聴項における情報によると6000枚)を不正に改ざん、販売した事は悪質であり、懲罰的罰金とも言える超高額訴訟を提起するに至った。また、スカパーカスタマーセンターの説明によると、本事案で関係した購入者5000人の購入情報は既に警視庁より入手しており、およそ一人当たり500万円前後の著作権侵害における損害賠償請求を提起するとしている。[39]

その他

デジコン委員会の第5次答申では「消費者や権利者の立場からB-CASについてさまざまな指摘が行なわれた」ことを理由にB-CAS見直しの方向を打ち出している[40]

元NHK職員で経済学者である池田信夫2008年平成20年)9月26日にB-CAS見直しが決定した際に「B-CASの廃止が事実上決まった」と述べた[41]が、実際に廃止が決まったわけではなく「見直し」が決まっただけである。放送局・権利者団体の意向に沿っていたデジコン委員会においてB-CAS見直しの流れとなった原因としては「インターネット上での圧倒的なB-CAS反対意見があり、これを受けた公正取引委員会独占禁止法違反の容疑でB-CAS社などの事情聴取に乗り出したことが原因だった」とも述べた[41]


ギャラリー

脚注

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  1. ^ a b 一般社団法人 電波産業会 (2013年3月19日). “ARIB TR-B14 地上デジタルテレビジョン放送運用規定 ARIB TR-B14 5.1版 (第三分冊)”. www.arib.or.jp. 2013年10月1日閲覧。
  2. ^ a b 一般社団法人 電波産業会 (2012年9月25日). “デジタル放送におけるアクセス制御方式 ARIB STD-B25 6.2版”. www.arib.or.jp. 2013年10月1日閲覧。
  3. ^ 総務省. “(5)BS放送とCS放送の概要”. 国立国会図書館 インターネット資料収集保存事業 (WARP). 2013年10月1日閲覧。
  4. ^ a b 一般社団法人 電波産業会 (2012年9月25日). “ARIB STD-B10 デジタル放送に使用する番組配列情報 ARIB STD-B10 5.1版”. www.arib.or.jp. 2013年10月1日閲覧。
  5. ^ 小寺信良 (2013/6/19 11:00). “【小寺信良の週刊 Electric Zooma!】第619回:ソフトウェアCASで実現した“小型な地デジ” - AV Watch”. Impress Watch Corporation. 2013年10月1日閲覧。
  6. ^ a b 名前の由来”. 株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ. 2013年10月1日閲覧。
  7. ^ a b 地デジにしたいなんて誰が言った!? ( 10) [新書]”. 晋遊舎ブラック新書 (2008年7月28日). 2014年4月7日閲覧。
  8. ^ BSデジタル放送の受信確認メッセージについて”. 地上・BSデジタル放送ガイド. 日本放送協会 (2008年4月7日). 2012年5月11日閲覧。
  9. ^ 長谷川博 (2007年9月10日). “B-CASカードのネット転売に権利者団体が警鐘,背後に「無反応機」の影”. ITpro. 日経BP社. 2009年7月6日閲覧。
  10. ^ B-CASカードよくある質問”. 株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ. 2013年10月1日閲覧。
  11. ^ 各種お手続き(一般向けカード)”. 株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ. 2013年10月1日閲覧。
  12. ^ a b 「地デジマフィアを肥えさせる新型テレビ「不要な内蔵カード (B-CAS)」」、『週刊ポスト』第40巻第44号、小学館、2008年10月、 pp. 150-151。
  13. ^ 「B-CASカード」横流し全国初摘発 製造販売会社社長を逮捕 - MSN産経ニュース”. 産経新聞 (2013年8月2日). 2013年10月1日閲覧。
  14. ^ 旧社名 松下電器産業の頭文字のM。
  15. ^ 地上・BSデジタル放送の「コピー制御」におけるB-CASカードの取り扱いについて”. 日立コンシューマエレクトロニクス株式会社. 2013年10月1日閲覧。
  16. ^ AV Watch編集部 臼田勤哉 (2009年 10月 5日). “「CELL REGZA」詳細仕様。新LED/超解像搭載の最上位TV -AV Watch”. Impress Watch Corporation. 2013年10月1日閲覧。
  17. ^ B-CAS 事故 '8674422' 2012年テレビ視聴制限崩壊の真実 [単行本]”. 鳥取ループ (著) (2012年 5月). 2014年4月2日閲覧。
  18. ^ 中野淳; 高田学也 (2007年12月14日). “放送業界を揺るがすコピーフリーの地デジ受信機「フリーオ」を入手”. ITpro. 日経BP社. 2009年7月6日閲覧。
  19. ^ 地デジ・BS/CS 4番組同時受信!「PT1」の設定を徹底解説”. 教えて君.net. にゅーあきば (2008年12月23日). 2009年7月6日閲覧。
  20. ^ PT2のUSB外付けバージョンか、3波対応チューナー「PX-S3U」が登場 - GIGAZINE”. OSA INC. (2010年6月21日). 2013年9月26日閲覧。
  21. ^ 中野淳 (2007年12月14日). “PT2支援ソフト「TvRockとTVtest」をNHKも利用してることが判明”. ガジェット速報. 2014年4月7日閲覧。
  22. ^ ついにあの「フリーオ」がB-CASカード不要に、とんでもない方法を採用 - GIGAZINE”. OSA INC. (2013年8月21日). 2013年9月26日閲覧。
  23. ^ “「フリーオ」が初の店頭販売、地デジ/BS放送などに対応”. Akiba PC Hotline! (インプレス). (2009年5月23日). http://www.watch.impress.co.jp/akiba/hotline/20090523/etc_friio.html 2009年7月6日閲覧。 
  24. ^ テレビを見まくりな謎のカード「BLACKCASカード」をテレビに挿してみた”. OSA INC. (2012年2月23日). 2013年9月26日閲覧。
  25. ^ B-CASカードを有料放送見放題カード「BLACKCAS」にする手順が判明するまでの経緯まとめ、一体ネット上で何が起きたのか? - GIGAZINE”. OSA INC. (2012年5月18日). 2013年9月26日閲覧。
  26. ^ 「不正改ざんカード」について”. 株式会社ビーエス・コンディショナルアクセスシステムズ. 2013年9月26日閲覧。
  27. ^ B−CAS:有料テレビを不正視聴 ネットに書き換え方法”. 毎日新聞 (2012年5月19日). 2012年5月18日時点のオリジナルよりアーカイブ。2013年10月1日閲覧。
  28. ^ B―CASカード不正利用法、ネットで出回る スカパー・WOWOWが法的措置も”. 日本経済新聞 電子版 (2012年5月22日). 2013年10月1日閲覧。
  29. ^ 金子寛人 (2008年12月24日). “B-CAS見直し、「技術的エンフォースメント」の4案を提示…情通審”. ITpro. 日経BP社. 2009年7月6日閲覧。
  30. ^ 地デジ専用B-CASカードのユーザー登録制度を廃止”. ITmediaNews (2009年11月9日). 2009年11月9日閲覧。
  31. ^ 地上デジタル専用B-CASカードのユーザー登録廃止の予定について” (2009年11月9日). 2009年11月11日閲覧。
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関連項目

外部リンク

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